矯正治療とは、顎の成長を調整したり、歯を動かしたりすることで、適切な歯並びや咬み合わせにする治療です。
矯正治療の目的
矯正治療の目的は、大人の歯がそろう前(顎が成長している間)と大人の歯がそろった後(成長が終了した後)で大きく異なります。
●大人の歯がそろう前の矯正治療
主に上顎と下顎の成長のバランスを整えたり、歯の生え変わりがスムーズに行われるように促したりすることが主な目的となります。上下の前歯が生えてくる時期(6〜8才ころ)から、改善すべき問題点がある場合や、治療することで大人の歯の矯正が楽になると予想される場合に治療をお勧めしております。
●大人の歯の矯正治療
ひとつひとつの歯を並べて、緊密な咬み合わせ、美しい口元を作ることが目的です。差し歯やブリッジ、インプラント治療などを行いやすい環境を整えるために行う場合もあります。
表側に装置をつける矯正治療
最も歴史のあるオーソドックスな治療方法で、適応できる症状の範囲が広い方法です。当院ではなるべく目立たない透明な装置、白いワイヤーを採用しています。
裏側に装置をつける矯正治療
歯の裏側に装置をつけるため、基本的に周囲から矯正装置は見えません。一方、装置が舌に当たるので、装着直後の違和感、異物感は大きいです。歯の裏側の形は表側に比べて、個人差が大きいので、装置をオーダーメイドで作成する必要があるため、コストが掛かります。その分、施術料が高くなってしまいます。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置を使う矯正(マウスピース矯正)
取り外しが可能な透明なマウスピース型の矯正装置を使う治療方法です。周囲から矯正治療をしていることが気づかれにくいですが、1日20時間以上装着する必要があるため、患者様のご協力が欠かせません。現状では歯の移動量が大きい場合には適していないと考えますが、今後の技術進歩により適応範囲が広がると思われます。むし歯のリスクが高い方や、金属アレルギーの方には積極的にお勧めしております。
矯正治療の流れ
初診
お口の中全体を診察し、歯並びや咬み合わせ以外の問題が無いか、確認します。
歯科矯正相談
矯正担当医が診察し、歯並びや咬み合わせでお困りのことを確認し、予想される治療の概要を説明します。
歯科矯正検査
お口の中の写真、お顔の写真、横顔のレントゲン写真の撮影および、歯並びの模型を作ります。
分析
検査結果をコンピュータ解析し、問題点の抽出、治療目標の設定、治療方法の検討を行います。
歯科矯正診断・説明
分析の結果を説明し、患者様一人ひとりに合わせた治療計画を提案致します。
動的治療開始
治療計画に同意いただければ、治療が始まります。
●大人の歯がそろう前の矯正治療
動的治療(Ⅰ期治療) |
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成長観察 |
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●大人の歯の矯正治療
動的治療(Ⅱ期治療) |
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動的治療終了 |
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●保定治療・メンテナンス
- 後戻りを防ぐための保定装置を装着します。
- 原則、動的治療終了後2年間は保定を行うことを推奨しております。
- 保定期間中は、約3ヶ月毎に保定装置のチェックを行います。
- 保定期間中、保定終了後も、歯科衛生士による3ヶ月毎のメンテナンスを推奨しております。
矯正治療の費用
歯科矯正相談料 |
初回 |
¥2,000 |
2回目以降 |
¥1,000 |
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歯科矯正検査・分析・診断料 |
¥50,000 |
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歯科矯正施術料 |
大人の歯がそろう前の矯正 |
¥300,000 |
大人の歯の矯正(矯正用アンカースクリュー 代含む) |
表側に装置をつける矯正治療¥650,000 |
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裏側に装置をつける矯正治療
¥1,050,00 |
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上の歯は裏側、下の歯は表側に装置をつける矯正治療
¥900,000 |
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マウスピース矯正
¥800,000 |
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部分的な矯正 |
¥25,000×矯正装置を装着する歯の本数 |
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保定装置 |
¥50,000 |
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処置・調整・観察料 | マウスピース矯正以外の動的治療中 |
1回 ¥5,000 |
マウスピース矯正の動的治療中、成長観察、保定期間中 |
1回 ¥3,000 |
※価格はすべて税抜きです
※大人の歯がそろう前の矯正から大人の歯の矯正に移行した場合、大人の歯の矯正の施術料から大人の歯がそろう前の矯正の施術料を差し引きます。
矯正治療のリスク
・むし歯・歯周病
矯正装置を装着することで、歯磨きが難しくなり、むし歯や歯周病になる可能性があります。むし歯や歯周病になりやすい方や、上手く歯を磨けていない方は、矯正治療とは別に歯科衛生士によるメンテナンスを受けることを推奨しています。
・歯ぐきが下がる
歯を動かすことで、歯の周囲の歯肉(歯ぐき)が下がって、歯の根が露出したり、歯と歯の間の隙間が目立つようになったりする場合があります。なるべく、そのようなことが起こらないように治療計画を立案しますが、もともと歯のでこぼこが著しい場合などは起きやすいです。見た目が気になる場合は歯周病専門医(歯肉を扱うスペシャリスト)と連携し、改善を図ることも可能です。
・歯の根が短くなる
歯を動かすと歯根(歯の根)の一部が吸収されます。多くの場合は、問題となることはありませんが、もともと歯根が短い方や、通常よりも歯根が吸収されやすい方では問題となる場合があります。その際は、治療目標の変更を考慮する必要もあります。
・顎の関節の症状
歯を動かしている間、一時的に咬み合わせが不安定になることがあります。それに伴い、顎の関節に負担がかかり、口を開けると音が鳴る、痛む、口が開けにくいといった顎関節症の症状が起こる場合があります。多くの場合は、治療が進み、咬み合わせが安定すると改善しますが、顎関節症の治療を要する場合もあります。
・歯が動きにくい・動かない
歯の動きやすさには個人差があります。また、非常に稀ですが骨性癒着といって、歯が周りの骨と固着して動かない場合もあります。これらは治療前の検査で予測することが難しく、“動かしてみて分かる”ことも多いです。その際は、治療期間の延長や、治療目標の変更を考慮する必要もあります。
吉崎歯科医院の矯正治療の特徴
1. 日本矯正歯科学会認定医が相談から診断、治療まですべて担当します。
規模の大きい矯正歯科専門医院の場合、診療業務の一部を矯正歯科医ではないスタッフに任せることも多いようですが、当院では、矯正治療に関わることは、すべて日本矯正歯科学会認定医が行います。治療開始前でも治療中でも、不安なこと、疑問な点があれば、日本矯正歯科学会認定医が対応致します。矯正担当医が勤務していない日でも、応急処置などが必要な場合は勤務医と矯正担当医が連絡を取り合って、適切な処置を提供します。
2. 不必要な矯正治療はお勧めしません。
特に、お子さまの矯正治療はとにかく早い時期から始める方が良いと勧めるクリニックも少なくないようですが、必ずしもそうではありません。早く始めすぎると治療期間が無駄に長くなることもあります。治療内容についても、目的や目標がはっきりしない「とりあえず拡大しましょう」「とりあえずマウスピースを使ってください」といった治療を提供するクリニックもあるようです。結果に満足いただければ良いですが、期待と違った結果になるとトラブルになることも少なくないです。当院では、治療時期・内容と目的について、それぞれメリット・デメリットを科学的根拠(エビデンス)と経験に基づいて説明し、納得して頂いた上で治療を進めていきます。
3. 一般歯科医師と歯科衛生士、矯正歯科医がチームを組んで治療を担当するので、当院のみで治療が完結します。
矯正治療中には、むし歯の予防、歯周病の管理、便宜的な抜歯など、矯正治療以外の歯科治療が必要になります。また、歯を失ってしまって、インプラント治療や入れ歯などの治療を行う前に、歯並びを整えたほうが良い場合も多いです。そのような場合、治療を担当する歯科医師や歯科衛生士間での情報の共有が重要です。当院では、「小さな大学病院」をコンセプトに、専門医が連携して医療を提供しているため、ほとんどの場合、当院のみで治療が完結し、スムーズな治療を可能にしています。