小児歯科

乳歯の特徴と役割

・乳歯の特徴
乳歯は永久歯と比べて大きさは小さく、エナメル質・象牙質の厚みが半分程度しかないため、虫歯になりやすく進行もとても早いという特徴を持っています。
そのため、2~3か月程度でも神経に達するような虫歯に至ってしまうこともしばしばあります。
また、乳歯と永久歯の色を比べると、永久歯は黄色っぽいのに対し、乳歯は白いため、永久歯が最初に出てくると黄色い歯が出てきたように感じるかもしれません。

・乳歯の役割
永久歯が生えるまでの間、物を咬むための役割はもちろん重要ですが、もう一つ大きな役割として、永久歯の生えてくるスペースを維持するという役割があります。
通常、乳歯の生えていた所に永久歯は生えてきますが、乳歯を早期に失ってしまうと、周りの歯の移動が起こり、失った乳歯の下から出てくる永久歯の生えるスペースが無くなってしまい、歯並びが悪くなってしまう可能性があります。

子供に行う虫歯予防のための処置として、主にフッ素塗布とシーラントがあります。しかし、予防処置を行う=必ず虫歯にならない、というわけではありません。 「うちの子は甘いものが好きだから、予防処置をして虫歯にならないようにしてほしい」「うちの子は歯磨きが嫌いだから、歯磨きしない分を予防処置で補ってほしい」という保護者の方の声をよく聞きます。 これは大きな間違いです。予防処置はあくまで補助的なもので、虫歯予防に最も大切なことは、食習慣の改善・コントロールと歯磨きです。
詳しくはこちらをご覧ください。

フッ素の使用により以下の効果が得られます

1.虫歯菌の酸の産生を抑制する。
2.歯がフッ素を取り込み、歯が強くなる。
3.歯の再石灰化を促進する。

ただし、ごくごく初期の虫歯を除けば、基本的に一度虫歯になってしまった歯にフッ素を塗布しても、虫歯が治ることはありません。 予防とは、悪くなったものを治せるわけではなく、悪くならないようにすることです。

・歯科医院でのフッ素塗布
歯科医院で、高濃度フッ素を歯科医院で塗布する方法です。3~4ヶ月に一度の塗布を、継続的に行うことによって、効果が得られるとされています。多くの場合、定期検診と合わせてフッ素塗布を行います。

・家庭でのフッ素塗布
フッ素ジェル、フッ素入り歯磨き粉、フッ素洗口剤などの歯科医院で使うフッ素に比べると低濃度の物を、毎日行う方法です。家庭での毎日の低濃度フッ素と、歯科医院での定期的な高濃度フッ素の併用で、虫歯予防効果が高まると言われています。

~ワンポイント~
フッ素は摂取しすぎるとフッ素中毒になることなどもあり、注意しなくてはなりません。使用頻度、使用方法、使用量などを適切にしていれば問題はありませんが、例えばフッ素洗口剤を飲み込んでしまうようなことを、毎日していると問題になる場合があります。 ご家庭でフッ素を使用されるときには、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士に相談されることをお勧めします。また、偶発的にフッ素を大量に飲み込んでしまったら、牛乳を飲むとフッ素がフッ化カルシウムという物質になり、人体に無害なものになりますので覚えておくといいと思います。

~シーラント~
シーラントとは、生えてきて間もない歯の溝にプラスチックを詰めることで、歯の溝を平滑化し、虫歯を予防する方法です。
主に6歳臼歯や12歳臼歯などの奥歯に行うことが多いです。幼若永久歯は、まだ歯質が未成熟で弱いため、虫歯になりやすい傾向があります。
また、6歳臼歯や12歳臼歯は、それまでの一番奥の歯のさらに奥から生えてくるので、歯磨きが上手にできず咬合面の溝が虫歯になることがよくあります。
そのため、溝にシーラントを詰めることで溝に汚れがたまることを防ぎ、虫歯になることを予防する狙いがあります。
ただし、シーラントは歯を削らずに溝に詰めるだけなので接着力も弱く、厚みも薄いため、とれたり割れたりしやすくなります。
大人になるまでついている必要はありませんが、小学生の間くらいはシーラントがあると効果が見込まれます。
定期検診の時にとれたり割れたりしていないか、チェックしてもらうようにしましょう。